【書評】エッセンシャル思考-最小の時間で成果を最大にする-
書籍:エッセンシャル思考
著者:グレッグ・マキューン
翻訳:高橋璃子
- 作者: グレッグマキューン,高橋璃子
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2014/11/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この表紙の絵がなんだか強く印象に残り、気付いたら購入していました。
もちろん「最小の時間で成果を最大にする」というサブタイトルや説明文にも惹かれているのだけど、購入に至った要素としてはこの絵が大きかったかな。
ゴチャゴチャしてグワーッ!ってなったやつがなんとなく整理されてる感じ。それだけで何か解決してくれるのかなと期待が持てる。
整理されているのも綺麗な円ではなく、柔らかい曲線で書かれているのが絶妙。
率直な感想
無駄に領域を広げたり、効率が悪かったり、仕事を受けるばかりで渡せない状況に陥っていた自分にとって非常に響く内容だった。買ってよかったと思う。
だけど、長いし読みにくい。
これには「この本を読みながら無駄を排除せよ」っていう意図があるのかもしれないね。
本書で紹介するエッセンシャル思考は、
単なるタイムマネジメントやライフハックの技術ではない。本当に重要なことを見極め、それを確実に実行するための、
システマティックな方法論だ。エッセンシャル思考が目指す生き方は、
「より少なく、しかしより良く」。そのためには、ものの見方を大きく変えることが必要になるが、
時代はすでにその方向へ動きだそうとしている。
仕事の領域が広がるにつれて年々業務の難易度は増すのだけど、
自分の仕事は増えるばかりで残業することが当たり前になっている日々。
圧倒的な業務遂行スキルがあれば業務が増えてもサクサクこなせるのだろうけれど、
まぁごくごく普通に偏差値50くらいのレベルで人生を過ごしてきた僕にとってはそんな芸当は到底無理な訳である。
「より少なく、しかしより良く」
そうしなければ僕自身の体も持たないし、会社だって成長しない。
なんでもかんでも気合と根性でやろうとするなんて無理ゲーだと早く気づけばよかった。
僕は自分の力を過信していた
思えば、人生でもの凄い壁にぶつかったことはなかった。
学校の勉強なんて授業さえ聞いていれば上位10%以内には入れたし、運動だってまぁ学校代表にギリギリ選ばれるくらいの身体能力はあった。
物欲はあまりなかったけど特にお金が無くて苦しい思いをしたこともなければ、人間関係で悩むこともなかった。
それに就職も無事出来たし、残業することはあっても体調を崩したりせず日々元気に仕事に取り組めていた。
いやはや、客観的に文章にするとなんか嫌な奴だけど、実際僕は何不自由なく生きて来たし、壁なんてサクサク乗り越えてきたのである。
自分の力の限界に気付いた
でもそんな僕もある日ふと壁の存在を大きく感じるようになった。
ちょっと走ったら息切れするし、白髪も増えた。自分の発言を忘れることも。
もう明らかに体力は落ちているし、記憶力も低下している状態。
これを感じた時はなかなかの衝撃だった。
少しづつ階段を上り成長をしてきたはずの自分が、気付いたら階段を降りていたことに気付いてしまったのである。
(・・・おれは階段を登ったと思ったらいつの間にか降りていたっ!)
このまま同じやり方で階段を登っていてはいけない。
そんなことを薄々感じ始めたのは確か年齢30を超えたあたりだったかな。
成長するためには何かを捨てる必要がある
エッセンシャル思考とは、より多くの仕事をこなすためのものではなく、やり方を変えるためのものである。
そのためには、ものの見方を大きく変えることが必要になる。
エッセンシャル思考になるためには、3つの思い込みを克服しなくてはならない。
「やらなくては」
「どれも大事」
「全部できる」
この3つのセリフが、まるで伝説の妖女のように、人を非エッセンシャル思考の罠へと巧みに誘う。
3つの思い込みの罠にハマった人間、それはまさに僕ですね。
なんとなくこのままでは行けないという課題感を感じながらも、思い込みの罠から抜け出せずズルズルと続けてしまっていた自分が情けない。
99%の無駄を捨て、1%に集中する方法。
帯にも書いていたけど本当にそれを実行しないとならないと強く感じることが出来ました。
シンプルな人生は幸福である
本書は正直に読むのも大変だし、思考を身につけることはもっと大変。
たぶん僕は身につけるまであと何回もこの本を読なければならないだろうけど頑張ってみようと思う。
エッセンシャル思考を身につけることでの恩恵は一生ものに値すると本書では述べている。
なぜなら「迷わない」「流されない」「日々が楽しくなる」といったことが起こるから。
これだけモノや情報が溢れた時代。なんでもかんでもやろうとするのはやはり普通の人には無理である。情報が多いばかりに苦しんでしまうこともよくあると思う。
そう考えるとシンプルに、本質を見抜き、重要なことに絞って思考していくとはこの混沌とした時代で幸福に過ごすための有効な手法なのだなと改めて思わせてくれた本でした。